読書日記 2010年

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見る─眼の誕生はわたしたちをどう変えたか サイモン・イングス 早川書房 ★★★☆☆

視覚は、五感の中で圧倒的に重要性が高い。従って、その研究の歴史も深く、広い。本書は、眼について、様々な観点から──進化、化学、光学、色彩、心理学、人類学、意識から──論じた本である。これだけのものを書くために、著者は膨大な資料を読み込んだはずであり、それらを咀嚼し、再構成する作業は容易ではないだろう。
しかし、その試みは、あまり成功しているとはいえない。全体として一つのストーリーがあるわけではないし、著者の主張があるわけでもなく、雑多な知識の寄せ集めになってしまった感がある。ただ、視覚研究の広がりを知る上では良い本であり、領域ごとに細分化されてしまった現代の学問のあり方に対するアンチ・テーゼと捉えることができるかもしれない。

昆虫や、三葉虫の視覚世界がどのようなものであるかは興味深いが、その部分の説明は分かりにくかった(第4章)。ここを引き続き勉強したい。(10/04/11読了)

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