読書日記 2010年

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天才の栄光と挫折 藤原正彦 文春文庫 ★★★★☆

ニュートンの伝記について調べるために本書を購入したが、読み始めるとすぐに引き込まれてしまった。こういうのを書かせると、藤原正彦は天才的なのである。濃厚な、それでいて流れるような美しい文章である。とてもまねできない。

アイザック・ニュートン、関孝和、エヴァリスト・ガロワ、ウィリアム・ハミルトン、ソーニャ・コワレフスカヤ、シュリニヴァーサ・ラマヌジャン、アラン・チューリング、ヘルマン・ワイル、そしてアンドリュー・ワイルズという、9人の天才数学者たちの栄光と挫折。このうちニュートン、ハミルトン、ラマヌジャンは『心は孤独な数学者』に登場し、ガロワの劇的な人生もよく知られている。ちなみに私は、ペンシルバニア州立大学の George Andrews 教授のセミナーに出たことがあるのだが、この人はラマヌジャンの「失われたノートブック」の発見者だったのか!

本書に登場する9人は、みんなそれぞれに興味深い人生を送っている。共通することは、数学者としては栄光に彩られていても、その生涯は不幸だったということだ。天才とは、浮世ではうまく生きられないものなのだろう。(10/03/31読了)

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