読書日記 2011年

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原発スキャンダル 木原省治 七つ森書館 ★★★☆☆

瀬戸内海に浮かぶ小さな島、山口県上関町祝島。豊かな漁場に恵まれたこの島の目と鼻の先に、中国電力が原発(上関原発)を建設しようとしている。祝島は、知る人ぞ知る反原発運動のメッカであり、祝島の島民たちは30年近くも反対闘争を続けている。

上関原発を建てさせない祝島島民の会
STOP! 上関原発

著者は原発反対派である。本書の記述はおよそ中立とは言えず、多少割り引きして読む必要がある。ここでは、中国電力は徹底的に腹黒い存在として書かかれている。でも、今回の事故の経緯を見ていると、この程度のことは電力会社なら当然やっている、と思ってしまう。

誰だって、原発の近くになんか住みたくない。それでも原発が増えていく理由はただ一つ、カネである。原発は巨大ビジネスだ。原発を誘致すれば、自治体には交付金や固定資産税が転がり込んでくるし、新たな雇用が創出される。そういう自治体には、中身のない箱モノがバンバン造られる。ところが、何年かすると交付金は減額され、減価償却して固定資産税も減ってくる。そうすると、箱モノを維持するために、また別の原発を誘致しなければならなくなる。こうして、次から次へと原発が造られていき、ますます原発への依存性が高まってゆく。これを「原発麻薬」という。まさにシャブ漬けである。

日本には原発が54基もあって、3基が建設中であり、さらに11基が着工準備中であるという。日本中どこを見渡してみても、(沖縄を除き)原発から逃れることはできない。こんなに多くの原発が必要なはずはない。原発は空港と同じで、必要だから造られるのではなく、造ること自体が目的なのだ。

・・・などと偉そうに言ってはみたものの、今まで、原発についてちょっとでも考えたことがあっただろうか?敦賀には何やらたくさんあって、青森には得体の知れないヤバそうな施設がある、その程度の知識しかなかった。チェルノブイリなんて事故があったけど、日本の技術は世界一だから、ロシアみたいなことは起きるはずがない。・・・(私を含めて)ほとんどの日本人は、漠然とこんな風に考えていたに違いない。誰もが原発について無関心でいるうちに、いつの間にかこうなってしまったのだ。(11/04/02読了)

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