科学する麻雀 とつげき東北 講談社現代新書 ★★★★☆
麻雀というゲームは、オセロやチェスと違ってランダムな要素が大きすぎるので、解析的に解くことができない。しかし、ランダムな要素が大きければ、統計的に解析することによって、確率的な議論に持ち込むことができる。本書は、「東風荘」という(今となってはやや古典的な)インターネット麻雀の膨大な実践のデータを集計し、統計的に解析した結果をまとめたものである。記述は統計学の知識に裏打ちされた学術的なもので、きちんと論文化した方が良いのではないかと思えるほど。筆者はただものではない。
これこそ私の求めていたものだと思った。「いずれは、本書の内容を知らずして麻雀を語ることのできない日が来るでしょう」とまで言い切っていて、かなりの期待をもって読み進めた。しかし、大風呂敷を広げた割には、そんなに画期的なことが書かれている訳でもなかった。あまり細かいことは覚えきれないので、結局その教えるところは、実践的には普通の戦術書に書かれていることとさほど変わりはない。「裏スジは危険」というのがただの都市伝説だった、というのは新しい。あとは、ベタオリ時の危険度表は使えそうだ。
現物 危険度0 単騎字牌 0.9 スジ19 2.9 単騎以外の字牌 3.4 スジ28 4.8 スジ37 5.5 無スジ19 6.3 片スジ456 7 無スジ28 7 無スジ37 7.1 無スジ456 12.3
「流れ」というものは、心理学的には間違いなく存在するのだが、それは幻想に過ぎず、実際には存在しない。麻雀というゲームはランダム性が大きいため、1回ごとの分散は非常に大きいのだが、常に同じ打ち方をしていれば、長い目で見れば必ず実力を反映した順位に落ち着くというわけだ。(14/01/02読了 14/10/13更新)