かわいそうだね? 綿矢りさ 文春文庫 ★★☆☆☆
毎度のことながら、綿矢りさの作品は、文章が巧くて唸らされるような表現が散見されるものの、登場人物が魅力的でないため全く感情移入できず、第三者的な視点のまま終わる。
大江健三郎賞を受賞した表題作は、比較的面白い。歌人・東直子の解説にあるように、終盤の描写は痛快ではある。文庫本の半分手前あたりから物語は急展開し、一気に読ませるが、物語はまだまだ続くと思わせておいて、唐突に終了する。それは、後半に『亜美ちゃんは美人』というCDのB面みたいな作品が収録されているからだった。これは駄作だろう。いくらなんでも、このヤンキーをもう少しリアリティのあるやり方で描けなかったものか。なにか人生に対する教訓が含まれているわけでもない。(15/03/06読了 15/03/22更新)