ホワット・イフ? ランドール・マンロー 早川書房 ★★★★☆
「野球のボールを光速の90パーセントで投げたらどうなるか」「使用済み核燃料プールで泳いだらどうなるか」など、読者から寄せられた質問に全力で科学的に(ここが重要)答えるサイト、What if? をまとめたもの。ここで新ネタと共に、原文が読める。
それにしても、世の中には面白いことを考える人がいるものだ。
著者は元NASAの技術者だけあって、天文・宇宙系のネタが一番面白い。
いわゆるフェルミ推定なのだが、データさえ与えられれば実験しなくても結果を予測でき、その結果がしばしば直感から大きく外れているという点で、この本は物理学の本質を表している。
実際の元素でキューブを作って並べたらどうなるか、水の入ったコップの下半分が突然真空になったらどうなるか、中性子星と同じ密度の弾丸(エンパイアステートビルくらいの重さ!)に触れたらどうなるか、など、考えたこともなかったけど、なるほどこうなるのか。
アスタチンがどんな見た目をしているか、だれも知らない 土星の衛星タイタンでは、人類は筋力だけで飛び立つことができる スペイン国王カルロス2世の近交係数は0.254で、彼を最後にハプスブルク家は途絶えた 地球・太陽間の距離だけ離れて見る超新星爆発は、目に押しつけられた水素爆弾の爆発よりも109倍も明るい! 南太平洋の絶海の孤島、ピトケアン島に住む56人の住民のお陰で、今でも大英帝国は日が沈まない
など、トリビアもたくさん。
アメコミ風の(いや、実際これはアメコミなのだが)イラストはダサいが、著者の本職はウェブ漫画家らしい・・・。(16/09/03読了 16/12/28更新)