「子供を殺してください」という親たち 押川剛 新潮文庫 ★★★★☆
ショッキングなタイトルにつられて何気なく手に取ったが、内容は輪をかけてショッキングだった。壮絶、としか言いようがない。
著者は、手がつけられなくなった「子供」──といっても、30代、40代だったりする──を医療につなげるという「精神障害者移送サービス」を、いかなる組織にも属さず、個人で行っている。
家族というのは、他人であって他人でない、厄介な存在である。
本書に出てくるのは極端な例かもしれず、こうなってしまったのは親が悪い、と批判することは容易である。
でも、程度の差こそあれ、自分がいつ当事者にならないとも限らない。本書で提起されている問題は、誰もが知っておくべき、現代社会が抱える闇である。(17/11/09読了 19/02/11更新)