算数的思考法 坪田耕三 岩波新書 ★★★★☆
何を隠そう、本書の62頁に登場する「芳人君」は私である。
(本書には一つ間違いがある。坪田先生が私を受け持ったのは、本書が出版される30年以上前なのだ!)
坪田先生は、小学校5、6年生のときの担任だった。坪田先生が私の母校にいたのはたったの5年間だったから、そのうち2年間担任をしてもらえたのは、実に幸運だったと思う。
坪田先生の算数の授業は独特で、ただの一度も教科書を使ったことがなかった。マスコミの取材や、他校の先生が見学に来ることもしょっちゅうだった。
小学校の算数なら誰でも知っている・・・と思うかもしれないが、意外に発展性がある。
分数の割り算は、なぜ割る数をひっくり返してかけるのか、うまく説明できる大人はあまりいないだろう。2個の三角定規で15度の倍数をすべて作る問題なども面白い。
平凡な教師はしゃべるだけ
良い教師はわかりやすくしゃべる
もっとよい教師はやってみせる
最高の教師は、子どもの心に火をつける
だとすれば、坪田先生は間違いなく最高の教師だった。
短い本なので、すぐに読める。終章は、坪田先生の人柄が偲ばれ、涙が出てくる。(18/02/22読了 18/02/23更新)