読書日記 2018年

Home > 読書日記 > 2018年

生体電気信号とはなにか 杉晴夫 講談社ブルーバックス ★★★☆☆

18世紀にイタリアのガルバニは、2種類の異なる金属(鉄と銅)をつなげた線の両端を、皮を剝いだカエルの身体に接触させると、筋肉の収縮が起こることを発見した。この発見がボルタによる電池の発明をもたらし、やがて電磁気学の発展へとつながっていく。
電磁気学の発展の歴史については、ブルーバックスでも十指にあまる入門書が出版されている。しかし、生体内の電気現象に関する研究の歴史についての本は、本書をおいて他にないだろう。

ただし、生体電気信号の実体は、1950年代にホジキンとハクスレーによっておおかた解明された。どんな神経科学の教科書にも載っている話である。
そのメカニズムはややこしく、つぶさに歴史をたどってみたところでわかりやすくなるというわけでもない。
本書は、学術的にはしっかりした本だと思うが、いささか教科書的すぎて、通読するのに骨が折れる。それなら、最初からオーソドックスな教科書を読めばいいような気もする。(18/06/13読了 18/12/09更新)

前へ   読書日記 2018年   次へ

Copyright 2018 Yoshihito Niimura All Rights Reserved.