週末ちょっとディープなタイ旅 下川裕治 朝日文庫 ★★★☆☆
東南アジアを主なフィールドとする著者だが、その中でもタイはホームグラウンドであり、40年もの付き合いがあるという。
流石に、その辺の紀行文とは一線を画しており、むしろルポルタージュといったほうがいい。
私たちが「タイ料理」と思っていたものは、実は「タイ中華料理」だった! プミポン国王の死によって真っ黒に塗りつぶされたバンコクの街 中国に蚕食されるラオス──その背景には、ラオスとタイ、ベトナムとの微妙な力関係が・・・ ビエンチャンからロットゥーで1時間半、やっと見つけた「音のない村」
など、政治的な側面にも切り込んであって、興味深い内容。
ただ、著者のタイに対する愛が深すぎるのか、古き良き東南アジアに対するノスタルジーが強すぎて、読んでいてあまり希望が感じられなかった。生活感がありすぎて、旅の非日常性が漂ってこないというか。
タイはまともに旅したことはないし、ラオスもまだ未踏である。でも、嗚呼、旅に出たい──という焦がれるような思いが湧き上がってくるような内容ではなかった。(18/06/26読了 18/10/27更新)