読書日記 2018年

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マイナス50℃の世界 米原万里 角川ソフィア文庫 ★★★☆☆

人類の定住地の中でいちばん寒いオイミヤコン(Өймөкөөн)を擁する、世界最大の地方自治体、サハ共和国。1980年代、まだソ連だった時代に、テレビ取材班のロシア語通訳としてシベリアを旅したときの記録である。日本に近い割には、ほとんど情報のないエリアだ。
名エッセイストである米原万里の、「幻の処女作」でもある。

しかしこれ、某小学生新聞に連載されたものらしく、30分ほどで読み終えてしまう。肩すかしを食らった感じだが、それでも中身は面白い。
マイナス50度の世界ではスキーもスケートもできないし、車のタイヤにチェーンも要らない。寒いと氷は滑らないのだ。
この旅には椎名誠も同行していて、そのときの記録は『ロシアにおけるニタリノフの便座について』『零下59度の旅』といった本にまとめられているようだが、残念ながらどちらも絶版になっている。

現在、サハ共和国の人口はサハ人が半数近くを占め、ロシア人を凌いで最大民族である。サハ人の現在がいかなるものなのか、非常に気になるところだ。
彼らの顔つきは典型的なモンゴロイドなのだが、その言語はチュルク系である。興味深いことに、サハ語には、ラクダやゾウなど明らかに南方起源の語彙があるという。

サハ共和国の最高峰が何なのかははっきりしない。一般には、チェルスキー山脈にあるポベダ山(3003m もしくは 3147m)という、なんの面白味もない名前の山だとされているようだ。
この山に登頂した人は、これまでに何人くらいいるのだろうか?
初登頂は1966年。そして冬季初登頂は、驚くべきことに2018年2月になされたばかりであるらしい。(18/07/05読了 18/10/27更新)

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