週末シンガポール・マレーシアでちょっと南国気分 下川裕治 朝日文庫 ★★★★☆
シンガポールは、旅人にとって、東南アジアの中でいちばん魅力のない国である。仕事で行くなら良いし、住むのにも良いのかもしれないが、わざわざ出掛けていくほどのところではない。
本書を読んでみても、やっぱりネガティブなことしか書かれていなかった。
半島部のマレーシアも、いまいちディープさが足りない。世界遺産のマラッカやペナン島も、機会があったら訪れてみたいが、安っぽい観光地という感じが拭えない。
面白そうなのはむしろ、「マレー人たちの小宇宙」、マレー半島の東側かもしれない。
ただし、本書では完全にスルーされているが、マレー半島最高峰のタハン山(Gunung Tahan, 2187m)にはそのうち登りに行くのだ。
本書は、紀行文としてのテンションは低めながら、シンガポールとマレーシアの歴史的な確執について掘り下げてあって、興味深く読んだ。安定の下川節である。
シンガポールは、マラヤ連邦から追放される形で独立した。ということは、サバ州、サラワク州が独立国になる目もあったのだろうか。(18/09/20読了 18/10/27更新)