インド通 大谷幸三 白水社 ★★★☆☆
インド渡航歴70回以上のノンフィクション作家が描くインド社会の現在。マハラジャの結婚式に参列したり、インド独立の英雄の追悼式でスピーチをしたりなど、よほどインド社会に深く根ざしたツテがないとできるものではないだろう。貧困ばかりがクローズアップされるインドだが、こういう切り口もある。
「カレー」の語源がタミル語の kari கறி であるという説は広く流布しているが、本書はこの説を否定し、古フランス語で「料理」を意味する keuerie 語源説を提唱している。
オビには「渾身のフィールドワーク」とあるが、人類学者によるフィールドワークを期待していると、ちょっと違うかもしれない。(20/01/29読了 20/03/14更新)