コンスタンティノープルの陥落 塩野七生 新潮文庫 ★★★★☆
この本、高校のときの世界史の推薦図書の一つだった。恥ずかしながら塩野七生の著作を初めて読んだが、今読むと、これが大変に面白いのである。
1453年5月29日、ビザンチン帝国の首都コンスタンティノープルはトルコ軍の猛攻によって陥落した。ここに、1100年の長きにわたったビザンチン帝国は消滅したのである。
そのトルコ軍を率いたのは、弱冠21歳のメフメト2世(本書ではマホメッド2世)だったというからすごい。
なるほど、われわれは世界をアジア/ヨーロッパ/アフリカと分けて見てしまう癖が付いているが、地中海世界というのは、ローマ帝国から始まって、ビザンチン帝国、オスマン帝国と一つの文明圏を成してきたわけだ。
東欧やバルカン半島というと遅れたイメージがあるが、西欧こそが辺境なのだ。バルカン半島諸国は、重厚なる歴史の怨嗟に絡め取られてしまったかのようである。
本書を読むのと読まないのとでは、トルコを旅したときの景色の見え方がまったく変わってくるだろう。
今年になって、アヤソフィア(ビザンチン帝国時代の聖ソフィア大聖堂)がモスクとして復活したというのも感慨深い。だが、博物館だったうちに、内部のモザイク画を見ておきたかった。(20/07/17読了 20/07/28更新)