街道をゆく34 大徳寺散歩、中津・宇佐のみち ★★★★☆ 司馬遼太郎 朝日文庫
九州には、古代の香りが立ち込めている。
『街道をゆく』シリーズで司馬遼太郎がいちばん多く訪れたのは、自宅のある関西地方であるのは当然として、その次に多いのは九州なのだ。
本書を手に取った理由は、中津と宇佐を訪れたからだ。本書を読まなければ、中津城が、観光客向けに作られたニセモノであることは知らずじまいだった。
それはさておき、前半の「大徳寺散歩」も面白いのである。
毎度のことながら、司馬遼太郎の博識ぶりは圧倒的である。話題がどんどん逸れていっていまい、一体何の話をしていたのかわからなくなる。しかし、それが良いのだ。
大徳寺は、一休や沢庵が出た禅寺である。
千利休は豪華すぎる三門(金毛閣)を建て、その上に自身の木像を置いた。それが秀吉の逆鱗に触れ、利休は切腹を命じられる。その舞台も、ここ大徳寺だった。
久しぶりに京都に行きたくなった。禅についても、もっと勉強してみたい。
和尚、椅子、箪笥、暖簾、蒲団などは、古代に入った呉音・漢音でなく、鎌倉・室町のころ入宋した禅僧がもたらした唐宋音 郡(gun)からクニ、筆(fud)からフデ、絹(ken)からキヌ、銭(sen)からゼニという言葉ができた(諸説あり)
(24/02/27読了 23/03/02更新)