1.日向岬・延岡 編 よりつづく
2.高千穂 編
宮崎は、神話の舞台である。
日本神話に、天神七代、地神五代、日向三代というのがある。日向三代とは、日向の地にいた神さま、ニニギノミコト(瓊瓊杵尊)、ホオリノミコト(火折尊)、ウカヤフキアワセズノミコト(鸕鶿草葺不合尊)である。日本神話によれば、三代目ウカヤフキアワセズノミコトの子が大和に下って即位したのが神武天皇ということになっている。
それで、高千穂のしめ縄は、七本、五本、三本の藁が垂れている。しめ縄を「七五三縄」と書くのはこのためだ。あまりこういう形のしめ縄を他で見たことがないが、どうなのだろうか。
夕方に高千穂に到着し、高千穂神社の夜神楽を見に行った。
高千穂の夜神楽は三十三番からなり、夜通し行われる。よって、途中で居眠りをするのが正しい鑑賞法である。実際、独特のリズムが眠気を誘う。
ただし、高千穂神社で毎晩行われるのは観光客向けのダイジェスト版で、三十三番のうちの四番のみである。最初は退屈かと思ったが、だんだん面白くなっていった。解説付きなのが良い。
第一番では、アマテラスノオオミカミ(天照大神)がお隠れになった天岩戸を探す。第二番で、アメノウズメノミコト(天鈿女命)が面白おかしく舞を舞って、アマテラスノオオミカミをおびき寄せる。第三話では、力持ちのタヂカラオノミコト(手力雄命)が天岩戸をこじ開けて、放り投げる。ちなみに、その天岩戸が飛んでいった先が、長野の戸隠山である。
最後に、話は二十番に飛ぶ。これは、イザナギとイザナミが酒を呑みながらいい感じになるという、五穀豊穣、子孫繁栄を願うコミカルなステージだ。
天岩戸神社から川に沿って歩いて行くと、天安河原(あまのやすかわら)というところがある。ここは、アマテラスノオオミカミが天岩戸にお隠れになったとき、アマテラスノオオミカミの気を引くために八百万の神々が集まってどんちゃん騒ぎをしたところとされている。
無数のケルンが積んである、何とも不思議な空間である。
天岩戸とされる場所は、高千穂神社の境内の裏山にある。無料ツアーに参加すれば、見学させてもらえる(撮影禁止)。
ここにも七・五・三のしめ縄が張られていた。アマテラスノオオミカミが二度と天の岩戸に入れないように結界を張ったのがしめ縄の起源だから、ここにあるしめ縄が最古のしめ縄ということになる。
3.祖母山 編 につづく
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