読書日記 2025年

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なぜ働いていると本が読めなくなるのか ★★☆☆☆ 三宅香帆 集英社新書

これは、タイトルの勝利。
常日頃まさに思っていることだから、つい手に取ってしまう。

でも、このタイトルで、どうやって一冊の本にまとめるというのか。
実際のところ、本書の大部分は、日本における「読書文化の歴史」とでもいうべきものだ。
とはいえ、著者は80年代や90年代をリアルに体験した世代ではないから、内容は他人の主張の受け売りに過ぎない。

ネットの検索は、「知りたいことに最短距離でアクセルする」ことに価値がある(だからchatGPTは有用なのだ)。それに対して読書の醍醐味は、「知りたかったこと以外のことを知る」、あるいは「何を知ることができるか、読んでみるまでわからない」ことにあるだろう。
本書にも、そういうことが書かれている。でもそれは、これまでに散々言われてきたことに、令和的な言い回しをまぶしただけだ。

そして、本書の結論が「半身で働け」「頑張りすぎない」というのは、牽強付会というか、なんとも拍子抜け。燃え尽き症候群がかっこいい、なんて誰も思ってない。
昔に比べれば、今の働き方はずっと改善されているはずなのだが。まるで共感できなかったのは、世代間ギャップだろうか。(25/10/17読了 25/10/18更新)

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