読書日記 2009年

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されど われらが日々── 柴田翔 文春文庫 ★★★☆☆

色んな時代の青春のバイブルを読み比べてみよう。
80年代の『なんとなく、クリスタル』、70年代の『赤頭巾ちゃん気をつけて』を読んだので、次は60年代だ。著者が29歳のときに書かれた本小説は、1964年の芥川賞受賞作である。

1955年、六全協(共産党第六回全国協議会)。ここで共産党は、軍事方針の放棄を宣言する。それが学生党員に与えた衝撃がどんなものだったか──は、70年代生まれの私には知るよしもない。
女性の言葉遣いの柔らかさが印象的である。こういう話し方をする人は、もうほとんど絶滅してしまった。今や骨董品である。

この小説は、高校の時の夏休みの課題図書の一つだった。しかし私は読まなかった。あの頃、これを読んでいたらどう感じたのだろう。今時、十九や二十でこんなこと考えるヤツがいるだろうか?そう思う反面、時代背景はあまりにも違うけれども、自分もあの頃は、いかに生きるべきかを結構真剣に考えていたような気もする。
大石静氏の解説にある、「生きていることは、悲しいことなのだと知ってからが、人生なんだよ」という言葉が心に響く。(09/03/27 読了)

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