ひらいて 綿矢りさ 新潮文庫 ★★★☆☆
綿矢りさの作品は、処女作『インストール』を読んで以来、その独特の文体がクセになってつい買ってしまうのだが、(芥川賞受賞作の『蹴りたい背中』を含めて)毎回期待外れに終わる。しかし、この『ひらいて』は、個人的には、ストーリーが新しいと思った。そう来るか…という予想外の展開を見せる。光浦さんの解説(感想文?)にある通り、まさに「むこうみずの狂気」だ。ただ、無理のある描写が散見される(授業参観のお父さんとか)のと、JKが主人公なので感情移入できないのは当然としても、「たとえ」の描かれ方が魅力的でないような…。完成度はあまり高くないような気もするが、一気に読めて、それでいて結構楽しめた。(15/02/14読了 15/03/22更新)